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それは、大学一年の冬のことやった。


クリスマスを目前に控えて、ウチの選択肢はたったのふたつ。


1.バイト
2.女友達とガヤガヤパーティー


…の、どっちかや。

寂しい?寂しなんかない、慣れてる。だっていっつもこの2択やもん!




近所のコンビニ帰り。


首にぐるっぐるにマフラーを巻き付けて、親戚のおじちゃんのお下がりのダボダボなジャージを引きずりながらアパートに向かってた。

ウチのおじちゃんはあたしより少しデカいけど、かっちゃんよりはちっこい。

やからおじちゃんのいらんジャージがいっつもウチに回ってくる。

まぁ、パジャマになるからええねんけどな。


右手にさがったコンビニの白い袋がブラブラ揺れる。

アパートの階段、二階にたどり着いたその瞬間。

突如可愛らしい女の子が出現した。


そりゃもう、女の子!中の女の子。

清楚な黒髪に、整った目鼻立ち。お嬢っぽいワンピース。

そのえらい可愛い女の子はウチを見上げると、少し照れたように会釈して走り去った。


「………」


一方で、ウチはちょいと苦笑い。


…だって。どこから降りてった?三階建ての、アパートのどこから。


三階や。

紛れもなく三階。三階の……もしや。



行き先、変更。


203号室に真っ直ぐ帰らんと、ウチはその真上…303号室。


かっちゃんちに乗り込むことにした。