「え…、うん。風間?」
思わずつられて、ウチもちょっとビックリした声になる。
電話の向こうからおっきいため息が聞こえてきた。
「っわ…、よかった〜…」
「風間?」
「…絶対出てくれんか思てたわ」
「え?な…なんで?」
コンビニ袋が太ももに触れて、ヒヤッとした感触が広がる。
風間の声を聞くのはちょっと久しぶりで、ウチの家でカレーを食べた、あの日以来やった。
「…メール、返ってこんし。…避けられとんか思うやんけ」
「えっ、ごめん。見たねんけど今日出かけとってそのまま…」
そう言えば朝見たっきりで、さくらちゃんにも風間にも返信してなかった。
なんて着とったんやっけ?確か、今日家おる?みたいな…
「あ〜……うん、べつに…いっつも優子返信早いからなんか……つか、うん、ごめん。」
「ふっ、なんで謝んの」
「……今、どこおるん?」
「今?近くのコンビ───、」
効果音で言うなら、バッタリ。まさにそれ。
予想にもせんかったけど。
コンビニの角曲がったトコで、電話真っ最中の相手…風間と、出くわした。
「うおっ、風間」
「……っ!?……!!」
すごい偶然や。風間んち、この近くやないのに。
電話を耳から外して思わず笑ってしもた。
だって風間が金魚みたいに口パクパクさせて。動きも明らかに挙動不審やし。
「……や、やあ!!」
「ははっ、なにその爽やかな挨拶」
「ぅあ……いや、えっと…今から優子、ヒマやったりせぇへん?」
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