昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


結局帰りは、別々のバスに乗った。

バスん中はすいとって、ほぼ貸し切り状態で。

ウチは一番後ろの席で、窓ガラスに頭寄っかかって流れてく景色を眺めてた。

かっちゃんとおった遊園地はあっと言う間に見えんくなって。

そのまま一人、目ぇつむった。



寝過ごしてしまうこともなく、行きに利用した停留所で降りる。

いつもの夕飯の時間はとっくに過ぎとって、時間を確認して初めて、あーお腹すいたわ…とか思った。

今から作るのもめんどくさいから、近くのコンビニに寄って適当なものをカゴに放り込む。

おにぎり?パン?どっちが食べたいかすらよーわからへん。

いっつもなら結構悩んでまうねんけど、今日は疲れててじっくり選ぶとかそんな気になれんかった。


久しぶりの遊園地ではしゃぎすぎたんかなぁ。…うん、きっとそうや。


家帰ったらなんかお腹に入れて寝よう。すぐ寝よ。


店員さんの爽やかな声を後ろに、ナイロン袋手首に引っ掛けて自動ドアを出る。

一歩出たところですぐ、カバンの中の携帯が震えた。


「…ハイ」


名前を確認もせず、耳に当てる。


一瞬の沈黙のあと。


「も…しもし、優子?」


聞こえてきたのは、ちょっとびっくりしたみたいな、風間の声やった。


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