昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

「ひっ!?っ、わー!わー!!ちょ、」


え…なに?アホ?この人アホ?

アホですね間違いなくアホですよねちょっと待ってなに勝手にホック外して…


「い…っ!!ギャー!?なにすんのこの変態マジないからないからホンマっ!!」

「…相変わらず薄っぺらいなぁ」

「薄っ……!?」


…ホンマ即刻あの世に行けばええ。いや、あの世も受け入れてくれへんわこんなん煩悩のカタマリ。

かっちゃんの唇の感触が熱くて、なんかもういっそ痛くて、泣きそうなる。

変態。観覧車の中で発情しやがる男なんかを好きなウチも、十分ヘンタイやんか。


吐いた息は熱を持ってた。


観覧車の中の、温度が急に上がった気がした。


「っん、」

「うっわ…、なんか興奮するわ…」


はい誰か通報ー!エロ親父が一匹ここにいますー!!警察でも救急車でも霊柩車でもなんでもええから呼んで早く!!


「…こんな、ん、大事な彼女には…っ、せんくせに…っ!!」

「するわけないやん」


かっちゃんのやけにアッサリした声が、Tシャツの中でくぐもって響いた。


急に心がシンと冷えてく。


体は熱いのに、やから、その比較が余計に冷たさを引き立たせて。


…大事な彼女には、こんなトコで手ェ出さへんねん。

もっとちゃんとした場所で、もっとちゃんと、優しく触れるねん。


かっちゃんにとって、ウチは好き勝手できる相手ってだけや。



「…お前にしかせんわ」



…やのにこんなん言われて嬉しいとか、終わっとる。


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