昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

「……なぁ」

「へ?」

「こっち座らん?」


目を丸くして、固まった。

だってかっちゃんがポンポン、て自分の隣叩いて席開けたから。


「え、嫌」

「えらい即答やな」

「なんでカップルみたいに座らなアカンの意味分からん」

「え〜…正面同士ってなぁ、なんか面接みたいで苦手やねんもん」


もん、やないわ。そんな隣に座るとか何なん。何のつもりなん。そんなん心臓持たん、罰ゲームやって。

かっちゃん、しかもなんか楽しそうやし。いじめっ子の顔になってますよ、勝くん。


「嫌や」

「嫌やないって」

「無理やって」

「無理やない」


グイッと。

右腕を、かっちゃんにひっぱられた。

いきなりのことに身構えてなくて、そのまま前に飛び出る。


目の前にかっちゃんの顔。


鼻先、近い。


…そん時、ウチはなにを思ったんか。

自分でもわからん、それに後から考えても、サッパリわからん。


多分、本能っていうか。

やられる前にやったんねん!!的な。



「────」



…気づいたら、かっちゃんにキスをしていた。


ウチから、かっちゃんの唇を奪ってた。



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