昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

観覧車が、ゆっくり回る。

かっちゃんとウチが、地上から離れていく。


……て、いうか。


こんな、改まって向かい合って。なに話せって言うの。


かっちゃんは何も言わんと、ぼうっと外の景色を見てる。

オレンジに染まったかっちゃんの横顔。

なんか憂いを帯びて、男前が余計に増しとる。ムカつく、かっちゃんのくせに。

ほっぺた左右に思いっきし引き伸ばしてやりたい。


「…今日、ありがとうな」

「へ」


かっちゃんの視線は、いつの間にやらウチに向かってて。

ちょっとそれが真剣で、でもどっか照れとるみたいな、顔やって。


体ん中からぐわーって、熱くなる。


…え、おかしない?

似合わへん似合わへんどうしようこの空気!?だって普段ならどつきあっとるかケンカしとるか馬鹿にしあっとるか…って、ろくでもないな、ウチら。


一回空気を吸い込んだ。

かっちゃんが、くしゃって顔歪めて、笑った。


「ゆうとおったらさぁ。やっぱ、楽しいわ。」

「や…、そ、それはよろしゅうござんした…」

「いつの時代やねん」


また笑う。かっちゃん。


そんな笑わんといて。

そんなん言わんといて。

無駄に期待してまうから。なんで観覧車なんか一緒に乗ってくれんの?深読みしてまうやんか。

何も考えてへんのやろな。

かっちゃんは、何も思わんとそういうことやっとるんよな。


でも免疫ないから、思ってまうねんもん。


もしかしたら───って。


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