昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


無駄に緊張して、朝とか5時に起きてもたしな。

5時起きとかおばあちゃんやん。



…風間とは、あれから全然話せてない。

春休みやし。わざわざ会おうって連絡取らん限り会わへんやんか。

そうしとったら、あの言葉は夢やったんちゃうかなって思えてくる。



『好きやねん』



…なぁ、ほんま冗談やったんやないかなぁ。

だって風間がウチを、とか、信じられへんもん。ほんまに風間にはまるっきり素でおったのに。

ウチなんかアレやで?友達から「優子って見た目もオヤジやし中身もオヤジやんな」って言われてんねんで?オンナノコの欠片も見あたらへん。救いようない。


携帯のディスプレイの、表示が変わる。


ああ、もう17分か。9時17分…。


「………」


ものごっつ、嫌〜な予感しながらかっちゃんに電話かけた。

耳に当てた携帯から聞こえてきたんは、かっちゃんの。


ボッケボケに、寝ぼけた声。




「…あ〜……、いま、おきた……」






い ま 起 き た や と ?



…何でやねん。何で寝てんねん。気ぃ抜きすぎやろ。

ウチ一人はりきって、アホみたいやんか。


とりあえず「このアホンダラァ!!はよ用意して降りてこい!!」…ってどなって電話切った。

アホンダラァなんか人生において初めて使ったし。使ったことある人のが少ないんちゃうの。

待ち合わせ9時でとっくに9時回ってから起きるアホがどこにおんねん。

ここにおるわ。ウチの部屋のすぐ真上にな!!