一切口きいたらへんって思た。

二度と目ぇ合わしたるかって思た。

やのに30円の袋菓子持ってこられとるだけでその決意崩しとるし。ぐらぐらしとるし。


…やっすい女やなぁ自分。


「…かっちゃん」

「ハイ」

「ウチめちゃめちゃ怒ってんねんけど」

「反省してます…」

「めちゃめちゃ幻滅したんやけど」

「…ほんますいません…」


かっちゃんが自分から謝りに来た。それだけでもすごい進歩や。

「え?そんなんあったっけ?」…とか言うたらホンマしばいたろか思たけど。

こんな簡単に許してしもてエエんやろか。でも本心は、もうとっくに許しとる。

前からわかってたけど。


ウチは、かっちゃんに甘い。


仕方ないから、かっちゃんのコンビニ袋奪って部屋ん中に入る。

かっちゃんはツッカケぬいで、ウチの後に続いて入ってきた。


「…かっちゃん、カレー卵入れるやろ?」

「あ、チーズも入れてくれてエエで」

「お前に与えるチーズは無い!!」


…もうすでにいつものペースやし。

ウチが鍋をあっためよる間。かっちゃんは思いっきり背伸びして、そのままウチのベッドに倒れ込んだ。

かっちゃんが背伸びしたら、天井突き破りそうで怖い。

まぁ突き破ったとこで、すぐ上の部屋はかっちゃんの部屋なんですけど。


「あ〜…ゆうんちホンマ久しぶり…」


とろんと目を細めるかっちゃん。

ほっぺた半分が、布団の中に埋まってる。


「ゆう〜……」

「…ん?」

「んーん、別に〜。呼んだだけ」

「…あっそう」


かっちゃんと目が合って、思わずぐるんて半回転してしもた。

目の前のカレーがボコボコゆうてきてる。もう何なん。


…心臓のとこ、トキン、て動いた。


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