私はそれを見えなくなる遠くまで見守った。
まるでそれは皐の心のようだった。
あなたはどこで心を落としてきたの?
私も心を落としてしまったけれど、落とした場所は覚えているわ。
あの血まみれのフローリングの床。
場所はわかっているのに、取ろうと思わないのは何故かしら。
そっか…汚れてしまったからだわ。
「私にはあなたが女の子大好きにしか見えないけど?それは間違っているとでも?」
「妃菜子はなーんにも分かっていないね?」
そう言ってくるりと振り向く皐。
その表情は全くと言っていい程生きているようには見えなかった。
「…なんで?」
「今の俺が本当の俺だと思う?人は何か抱えて毎日生きているんだ」
その言葉にあたしはすんなりと納得をしていた。
私も椿のことを想いながら毎日生きている。
脳裏には、真っ赤な彼岸花。


