想うのはあなたひとり―彼岸花―



なぜもっと簡単にしてはくれなかったのだろう。


神様、あなたは本当に悪戯好きですね。




「え…?」




「この話は終わり!俺帰ろっと」




教室に着いた途端、机から鞄を持ち、去って行った弘樹。
入学式が終わったら解散だと先ほど言われたため、教室にはあまり生徒が残っていなかった。

残っているのは、皐の余韻に浸る女子だけ。
皐の姿ももうなかった。



私も鞄を持ち、教室をあとにする。
その時だった。



「皐くんにメール送ったけど送れないよ?エラーになっちゃう…」



「ちょっと待って!あ…あたしも…」




隣で聞こえてきた会話。
私はそれを聞き逃さなかった。


皐、あなたは何を考えているの?



私たちは、自由を失ったただの人形なのかな。



複雑な迷路を最後までゴールするためには一人ではできない。
誰かの手を握り、進めばゴールが見つかるかもしれない。



私は…誰の手を握るのかな…。