想うのはあなたひとり―彼岸花―



入学式が終わり、このあとも弘樹と肩を並べて教室に向かった。
弘樹の横顔をしばらく見つめる。
きっと弘樹に愛されたら幸せなんだな…なんて思ってしまった。
ごめんね、椿。
ヤキモチ…妬いちゃうよね。



「…妃菜子ちゃん?あんま見ないでくれる?」




「え!あ、ごめん…見てたの…気づいてた?」




「うん、視線が痛かったからさ」




こう笑いながら言う弘樹。
急に恥ずかしくなってしまう。



「妃菜子ちゃんは彼氏いるの?指輪してるからいるよね?」




弘樹は私を見下ろしながら突然聞いてきた。
隠す必要はない。




私の恋人は…あなただけ。




「あ、…うん」




「いいな、俺も欲しいから作ろうかなぁ」




「弘樹くんならすぐ出来るよ」



「無理だよ。俺が好きになる人は必ず皐が好きだから」





なぜこんなにも恋愛というものは難しいのだろう。