想うのはあなたひとり―彼岸花―



無神経なことばかり思ってしまって本当にごめんなさい。

私とあなたはとても似ていた。


「俺が皐と出逢ったのは去年なんだよ。あいつ、親の仕事の関係でもう何十回と転校してるんだってさ。今は落ち着いたみたいらしいけど。皐はすげぇ明るく見えるじゃん?でも転校初日は暗かったんだ。何か…悩んでる感じ?」



真っ白な廊下の上を私は今何を思いながら、何を感じながら一歩一歩歩いているのだろう。
浮遊する心を掴みとれることが出来ないくらい、どこかへ行ってしまった。



皐が悩んでた?
あんなにも能天気なのに?
じゃあ今笑ってる皐はなに?



やっぱり…あなたは椿なの?




…そんなありえないことまで考えてしまった。




「暗かった皐に声をかけたのが俺。それからだんだん明るくなってってさ。暗かった理由は俺には分からない。言ってくれないんだ、あいつ」





皐に秘められた感情を聞くのは、ちょっとだけ私が大人になったときだった。