皐はこう私に言って聞かせた。笑い話ではなく、真剣な話として。
その話に納得している自分と疑問を抱いている自分の二種類存在していた。
「…どういう意味よ…?」
「妃菜子、お前は誰かの所有物だろ?その左手にある薬指がそう語ってるもんな?」
そう言われて、薬指に視線を落とす。
きらりと光る椿からもらった指輪。
もう一度皐を見ると、にっこりと笑っていた。
その笑顔はどこか怪しく。
「俺、妃菜子のこと気に入ってるから奪いに行くかもね。今の所有者から。甘い蜜を求めに」
…何を言っているのだろう、と理解するまで時間がかかった。
私を奪う?
誰から?
椿から…?
そんなの無理に決まっているじゃない。
私の中には椿しかいないんだもの。
他の人など興味がないわ。
「俺が妃菜子のことを知ってる理由、そのうち分かるよ」
突然現れた、蜜蜂。
あなたは椿によく似た男の子。
名前は“美波 皐”(みなみ さつき)


