想うのはあなたひとり―彼岸花―



「…あのこと?」




聞き返してくる皐に私はどこかでほっとしていた。
あのことを知られたら、私の世界は暗闇になる。
椿が折角照らしてくれた光を自分の手で塞ぐことになる。


誰にも知られたくない。


椿のことは…私だけの秘密。




「…何でもないの。気にしないで」




「なぁ。お前、知ってる?
蜜蜂ってさ、気に入った花を見つけたら何度でも蜜を吸いにいくんだって。蜜が無くなるまで吸うって話。」





あまりにも真剣な顔をして言うものだから、その話に集中して聞いている私がいた。


脳裏に椿の笑顔を浮かべながら。




蜜蜂は甘い蜜を求め飛び回る。やっと見つけた甘い蜜はもしかしたら誰かの所有物かもしれない。

だが一度見つけた蜜を諦められない。


所有者がいない時に狙って蜜を吸いに行くのだ。




そして…自分のものにしてしまおう。