想うのはあなたひとり―彼岸花―



でも私は馬鹿だった。
自分の知らないところで愛されていたということを。


愛情不足にしたのは…私。



「…何があったかは聞かないよ。でもこれだけは言わせて?」



静かな口調で皐が語り始める。その言葉ひとつひとつに優しさが滲み出ていた。




「妃菜子が後悔しないようにしな?“あの時あぁしてれば”なんて後悔するのならちゃんとその時にしなきゃ…もうあの時はないんだから。俺みたいには絶対なるな。お前には幸せになってもらわなきゃいけないから」




そうだね。
皐の言っていることは間違っていないよ。
これから聞かされる事実を逃げずに聞くよ。
そしてちゃんとお別れできるように。


皐の手をぎゅっと握る。
生きていると実感するように。




椿は天国に行くとき何て思ったの?



私のこと、少しでも思い出してくれた?