想うのはあなたひとり―彼岸花―



リュウはジュースを飲みながら私の答えを待つ。


素直な気持ち…。
私の気持ちはどこに向かっているのだろう。
その答えを見つけ出すのも悪くない。


私を自由にしてくれた椿か。
私を特別だと思ってくれた皐か。



リュウが素直になるのなら私もなるよ。
リュウに言ったことは自分に向けて言ったようなものだ。
私も自分は人形だと思っていた。
でも感情というものを神様から与えられたのだから私は人形ではなくなった。
人間になったのだ。
だったら、素直に行動したい。
素直なままに生きたい。



「…分かった。素直になるよ」



「頑張ろうね、妃菜子ちゃん。今日は付き合ってくれてありがとう」




リュウは席を立ち、食べたものをゴミ箱に捨てた。
ついでに私のオレンジジュースも。
店を出るとそこはもう夜になっていた。



改札口の方へ歩いていく。




「…私寄るとこあるから、ここでお別れね」




リュウに手を振り、別れを告げる。




「今日は無理矢理ごめんね。でも話せてよかった。ありがとう。僕、頑張るね。」





「うん。頑張ってね。バイバイ」





リュウは笑顔で手を振って改札口を通る。
私は彼の背中をしばらく見つめていた。
するとリュウは歩くのをやめ、こちらに振り返る。




「あ!今日月が綺麗だって!天気予報でやってた!!じゃあまたね!」





無邪気に笑う少年は、私と一緒に素直になった。



満天の空の下で。
満月に見られながら。