強弱のある音楽は私の涙の速度。
流れ続ける涙は乾くという行為をまだ学んでいないらしい。
「俺はお前を知ってから特別だと思ったんだ。奈月を忘れて、目の前にいるお前を好きになろうとしてた。妃菜子は違うだろ?椿って奴を忘れてないまま俺と手を繋いだりキスをしたりしたろ?」
放心状態のまま、ただ皐の言葉だけ胸に刺さっていく。
もう刺さる場所がないくらい、刺さっているよ。
誰かに抜いてよ。
痛くないように優しく抜いてよ。
「なんかもう考えるのやめるわ。今妃菜子から話を聞いても責めることしかできないし…」
皐はため息を溢し、私の肩を離した。
そして鞄を持ち、部屋へ向かっていく。
待って…お願い。
私の話を聞いてよ。
激しく降る雨の中、私は最悪な過ちをした。
皐の信用を一気に無くしてしまうくらい、最悪な…。
「待って…お願い!!!」
歩く皐の背中に投げかけた言葉。
それに反応してくれない皐。
行かないで…私を一人にしないで。
…もう一人は嫌なの。
「一人にしないでよ…!!椿!!!!」
私を誰か連れていってください。
天国じゃなくていいから。
地獄でもどこでも。
安心して眠れるのなら。
「…俺は椿じゃない。美波皐だ。もう関わるな」
胸にぽっかり空いた穴は誰が埋めてくれるの…


