皐の涙を見たのはこれで二回目。
やはり綺麗だった。
「でも…皐…私…」
「もう何も言うな。今更聞いたって信じられない。妃菜子が俺を利用してたのは事実だろ?」
絶句。
喉のそこまで出てきていた言葉が空気となって消えた。
言おうとしていた言葉が分からなくなる。
開けた口から息を吸う。
次第に乾いていく。
涙のせいもあるのか、すごく喉が乾く。
「…俺は妃菜子がすごい特別になってた。奈月のことで傍にいてくれて心強かったし…。でも俺も最初、妃菜子に近づいたのは奈月に似てるって理由だった。だけど妃菜子を知っていくうちに全く違う人物だって分かった。俺はちゃんと妃菜子を見てた」
ぽつぽつ。
外が音を出す。
滴が物に当たり、音楽を奏でる。
それはイントロ。
次第に大きな音でサビに入る。
まるで私の心のようだった。


