椿に似ている皐を、利用したのは私。
椿と一緒にいる感覚になりたくて、皐と一緒にいた。
手を繋いだり、キスをしたり。
それはまるで椿としているような感覚になりたかったから。
何をやっていたのだろう。
後悔の波が私を襲う。
それが涙腺を刺激して瞳から涙が零れるのだ。
「いきなりすぎて…頭回んねぇ…ちょっと俺…妃菜子と話がしたいから、玲奈…今日は帰ってくれないかな?」
皐は一点を見つめたまま玲奈にこう言った。
玲奈は納得したのか「分かった」とだけ言ってアスファルトに置いてあった鞄を持ち上げた。リュウと同じ有名な私立学校の指定の革バック。
それが何だか鼻についた。
「じゃあね、花本さん。また会えるといいね?」
きっと玲奈は最後に私を見て笑っただろう。
「復讐できた」と心の中で笑っていたはずだ。
私は怖くて玲奈の顔すらみることはできなかった。
玲奈がいなくなり、急に静かになる廊下。
そして皐が一歩私に近づいた。


