想うのはあなたひとり―彼岸花―



耳を塞いで。
玲奈の口から飛び出す言葉を聞いてはいけない。


きっとあなたは悲しむから。
私が嘘をついてたって気づいてしまう。
最低だと思われる。
最低なことをしていると自覚している私はもっと最低だ。




「え?皐くん、知らないの?椿くんのこと」




「誰?その椿って?」




お願い…言わないで。
私と椿に何かあったか言わないで。



耳を塞いだのは私だった。
首を横に振り、目の前に繰り広げられる現実を否定する。

嘘だ…嘘だ…嘘だ嘘だ!!




玲奈は面白がるように笑いながら皐に近寄る。
後ろ姿を見た瞬間、玲奈が何かと被った。



…悪魔だ。
真っ黒な羽が生えた気がした。



「玲奈が教えてあげる。椿っていうのは花本さんの恋人よ。私は認めてないけどね。でも椿くんは今少年院にいるのよ。」





「…何で?」





やめて…やめてよ。





「花本さんの母親を殺したからよ?」