体が熱くなっていく。
まさか皐がそんなこと言うなんて。
どうして…なんで?
そんなに私のこと…
「ふーん。特別ねぇ…。その特別が壊れることはないの?」
気が強いのか。
負けず嫌いなのか。
彼女は一向に折れる気配はなかった。
そのうち皐の方がダメージを喰らうのではないかと心配だ。
「変わらないね。たぶんずっと。妃菜子を見てると安心するし…、妃菜子の瞳にずっと映ってたいって思う」
どくん。
また熱を帯びていく。
盗み聞きするのはもう我慢できないよ。
こんな会話…恥ずかしくて聞けやしない。
私は阻止するのを目的に、ゆっくりとドアを開けて顔を出した。
アスファルトの廊下には皐と後ろ姿しかわからないがやはり女の人がいた。
神様は、悪戯をした。
「あ、妃菜子…」
皐が私に気づき、彼女が私を見た。
フラッシュバックする過去。
彼女を見た瞬間、忘れていた人間を思い出した。
…あなたは…。
「やっぱり玲奈の思った通りだった。ひなこって…花本妃菜子のことだったんだね」
椿を好きだったあの人。
私に消えて欲しいと願う人間。
…吉岡玲奈。
「椿くんを犯罪者にして、今度は皐くんを犯罪者にするつもり?花本妃菜子さん?」
誰か…助けて。


