想うのはあなたひとり―彼岸花―



進む道が真っ暗でわからないの。
あなたもいないし、誰もいないの。
一人で進めっていうこと?
私には自信がないよ。
怖いの…この真っ暗な道が母親の血が流れるフローリングに似ているから。



ドアノブをぎゅっと握り、二人の会話を盗み聞きする。
盗み聞きなんて響きは悪いけどしょうがないでしょ?気になったのだから。





「そんなにひなこって人が大事なの?あたしのことは大事じゃないの?」




「は?なに言ってんの?お前とはただバイトが一緒ってだけだろ?俺、自分のこと聞いてくる奴とか嫌いなの。こうやって家まで来るとかすげぇ迷惑なの。分かる?」




「ひなこはいいんだ?」





…皐は何て答えるのだろう。
ドアノブを掴む手に力が入る。






「…妃菜子は特別だから。」