想うのはあなたひとり―彼岸花―



きっと…そうだ。


そう思うことにしよう。





「そろそろ時間だね。」




監督官が後ろからこう言った。



「それじゃ俺行くね。」




その場を立ち上がる椿。
私も無意識のうちに立ち上がっていた。
同じ目線でいつもいたいから。



「…妃菜子、ごめんな。本当は俺が会いに行くはずなのに毎回来てもらっちゃって。俺さ…妃菜子の気持ちが変わってもずっと待ち続けるから…。じゃあまたね」





「…うん。また来るね。椿に会いに…」




どうして最後にあんな言葉を溢したのか。
疑問を抱いたまま私は椿と別れた。
“また”と約束して。




少年院を後にし、私は自宅へと帰った。
駅まで送ってくれたのは保科さんではなかった。
保科さんは外出中らしい。
良かった、こっちのが好都合。椿に話しちゃったから…聞かれたら誤魔化すことなどできないと思っていたから。