想うのはあなたひとり―彼岸花―



面会時間30分と限られた時間は、こんなにも長かっただろうか。
この前はすぐ終わってしまったのに、今日は何だか妙に長い。
気のせい?
気のせいだったらいいけれど…椿から元気が無くなっていく。




「…椿?」




「妃菜子は俺の知らないところで成長していくんだね。きっとこれからもずっと」




小さく笑みを浮かべながらこう言った椿。
その言葉に胸が痛くなった。
溢れる悲しみが伝わってきたからだ。


そんなの…私だけじゃないよ。椿だって私の知らない場所で成長していくじゃない。
今日だってそうだよ。
前よりまた背伸びたでしょ?
体だって引き締まったし、髪の毛だって伸びたじゃない。


変わっていくのは私だけじゃない。
椿も私の見えないところで変わっていってるのよ。



私はそれが悲しいよ…
でもこの想いは胸にしまい、口には出さない。



我慢をする。
あの事件のきっかけは私なのだから。