忍び寄る影。


何かが近づいてくる気配があった。
私はそれに気づいていたのに知らないふりをしていたのだ。


でもそれは確実に近づいていた。
私は自分に後悔をする。
あの時、あなたの異変に気づいていたのなら、何か変わっていたかもしれない。

ごめんなさい。
私はあなたに光すら与えられなかった。




「僕が言ったことは気にしないで。今から椿くん呼んでくるから、面会室1にいて。」




「わかりました…」




なぜ保科さんがあんなことを言ったのか胸に引っかかっていた。
皐が何か関係しているのだと思う。
けれど一体何に?
どうして椿に皐のことを言ってはいけないの?




言われた通り、私は面会室1へと入った。
ひんやりとした空気が身に凍みる。
今日こんなにも寒かっただろうか。


今から椿に会えるというのに、何だか気持ちが晴れてくれない。