想うのはあなたひとり―彼岸花―



恐怖だった。
まるでホラー映画のよう。



黒に赤。
カラーは二色。
それ以外はない。


歩み寄る母親。
その足音を聞く度、心臓が高く鳴ると同時に手には汗が湧いてくる。



テレビから聞こえてくる天気予報。



「明日は関東地方に台風が上陸するでしょう。お気をつけください」




私にはひと足早い台風がやって来た。




「なに、これ」




そう言って、母親は彼岸花を私から奪った。




「誕生日だからお花あげようとして…」




母親はそれをまじまじと見て、床へと投げつけた。
そして足で踏み潰したのだ。




「あんた私に死んで欲しいわけ?」




「え…?」




何て言われたのか分からなかった。
死んで欲しい?
なんでそんなこと言うの?



私は、私は…





「彼岸花なんて縁起の悪いもの渡すんじゃないわよ!!私に死んで欲しいって言ってるものじゃない。こんな汚い花…いらないわよ」