想うのはあなたひとり―彼岸花―



弘樹の言葉がおかしかったわけじゃない。
憧れていたから。
そう言った弘樹がカッコ良く見えた。




「そっか。何か青春って感じだね?」




「妃菜子ちゃんの彼氏さんはどんな人なの?ずっと気になってたんだ」




「私の彼氏は…」




どうしてこの時、頭に浮かんだのは椿の顔ではなく、皐の顔だったのだろう。



わからなかった。
椿を思いだそうとしても浮かんでこなかった。




「妃菜子ちゃん?」




「私の彼氏はすごく優しいよ。甘えてばっかり」




「そうなんだ!へぇ、今度会わせてよ!」






ごめんね、会えないの。
私も月に一回しか会えないから。





「彼、恥ずかしがり屋だから、弘樹くんたちのテンションについていけないかも」




「大丈夫だよ、優しくするし!妃菜子ちゃんは彼氏のこと好き?」






…好きよ、世界一。