想うのはあなたひとり―彼岸花―




「気づいてたよ。そろそろかなって。でも面と向かって言われると、キツイわ…。帰ろっか妃菜子ちゃん」



優しく笑顔を見せる弘樹だが、その瞳は泣いていた。
無理して笑わなくてもいいのに。
私の前では弱さを見せてもいいのに。




弘樹と肩を並べてゆっくりと歩く。
今日は何だかお互いが元気に歩くことはできないみたいだ。
楽しそうに会話をする他の生徒たちの横を歩いていく。




「弘樹くん…は小絵ちゃんに気持ちは伝えないの?」




「伝えたいよ。でも小絵の恋も応援してるからさ。明日の結果を聞いてから考える。」




「それって?」




「もし皐が小絵と付き合うことになったら俺は諦めるし、ダメだったら小絵を支える。それで自分の気持ち伝えるかな」




照れくさそうに言う。
私は自然と笑っていた。