想うのはあなたひとり―彼岸花―



そんなこと聞けやしないけど。





「悪い、今から急いでバイトに行かなくちゃいけねぇんだ。また明日」




弘樹の誘いを断り、急ぎ足で教室を去っていく皐。
ほのかに残る、香水の匂いが私の胸を揺らした。




「そんなバイトばっかりして体壊さないのかよ、アイツ」



文句を吐きながら私たちのとこに歩いてくる弘樹。



「皐は意外と仕事熱心なのかもね?」



小絵は嬉しそうに話していた。私は相づちを打つだけ。




「あれ?…皐だよな?」




すると弘樹は目を細め、グラウンドを指差す。
その指す方向に顔を向ける私と小絵。




「誰だ?アイツ」





校門のそばを歩く皐。
そこには白いセーラー服に身を包んだ女の子がいた。
知り合いなのか何だか楽しそうに話していている。



その光景を見たとき、呼吸が出来なくなった。
きっと、小絵もだろう。