このメールは届くはずがない。だって宛先がないのだから。
送信ボタンを押しても、
“宛先を入力してください”とエラーになる。
椿?
私は椿にメールを送りたいのに届かないの。
あなた宛のアドレスを知らないから。
皐にもらったメモを私は携帯と一緒にポケットにしまった。
体を抱えて込んで小さくなる。
皐の言葉が離れない。
私は…何がしたいの。
唇に残るこの温もりはなに?
どうして私はあんなことをしたの?
誰か教えてよ。
これは何?
この胸の振動は、なに?
しばらく一人になって冷静に考えた。
でも答えは見つかることはなかった。
教室に戻り、私は皐と一度も目を合わさずに一言も口を聞かずに、その日は終わった。
「皐、帰ろうぜ!」
弘樹が皐にこう言った。
隣の席のため会話が嫌でも聞こえてくる。
皐は何を考えているのかな。
まだ怒ってるのかな。


