私はいつも後悔ばかりだった。
後悔に背を向けて、嫌いなことから逃げてばっかりだった。
過去を引きずってばかりだった。
目の前には未来しかないのに。
過去などないのに。
過去ばかりにこだわって、未来を見ようともしなかった。
辺りはもう暗い。
冬に近づくせいか、日が短くなっていく。
たちまち私の家は世界と一体化するのだ。
雑音さえ聞こえない街は、まるで二人だけの世界。
私が望んでいた世界に近くなった気がした。
椿の言葉は、はっきりと聞こえた。
でも言葉がのどに詰まってしまってなかなか言えない。
「…うん…」
やっと出た言葉はこんな情けない言葉。
嫌な予感がしたの。
じっと真っ直ぐ私の家を見つめる椿の横顔に、今まで感じたことのない感情を覚えた。
離れないで。
ずっと隣にいて。
なぜ言えなかったのだろう。
言葉が足りなかった。
私は小さかった。
「俺はずっと妃菜子の味方だから。強く生きていけよ?な?」
どうして別れ際にこんなことを言ったの?


