想うのはあなたひとり―彼岸花―



ごめんね、ごめんね。



謝っても無駄だよね。




「妃菜子、もう一回しよ?だめ?妃菜子とキスすると落ち着くんだ」




そう言ってもう一度歩み寄る皐。
私に近づかないで。
理性が失われる。


また皐を椿だと思ってしまう。


そうしたら罪と傷をまた増やすことになる。
苦しむのは私一人で充分だから。




「…できない。さっきのは間違いだから、忘れて。もうしないから…」




唇を噛んで皐をまた離す。
苦しそうな私の表情を見て皐は何かを感じ取ったようだ。
だから私にあんな言葉を投げ捨てたのかもしれない。




「妃菜子にはさ、ないの?たった一言や行動で相手に夢中になること。今まさに俺がそうなんだけど」






「え…」





「妃菜子が今してることは彼氏を裏切ってることなんだからな?」