想うのはあなたひとり―彼岸花―




椿…やっとキスできたね。




私の頭の中は空想。
現実で私がキスをしていたのは…椿によく似た皐。




気付いたときにはもう遅かった。
私の唇に触れているのは椿じゃなかった。
目を開けた瞬間、椿のあの時の残像は消え、今になった。




私…何ヲシテイルの?






「…ごめんっ!!」




皐の体を離し、自分のしたことに後悔をした。
また罪が増えた。




「なんだよ、いきなり。いい感じだったのにさ」




そんな可愛い笑顔をしたって無駄よ。
騙されただけ、きっと。
私も黒猫に遊ばれただけ。




「今の…なし…」




「は?妃菜子がしてきたんじゃん」




「違う違う…違うの。あれは…」





言い訳が思い浮かばなかった。





椿に罪を。
皐に傷を。




追わせたのはこの私。