曇りだす天気を見てそう思った。
私たちの運命も曇り始める。
「…もしもし?」
『あ、妃菜子ちゃん?今大丈夫?面会の日にち決まったよ』
「あ…はい。いつですか?」
なるべく皐には聞こえないように、背中を向けて保科さんの声に集中した。
『明後日なんだけど大丈夫?金曜日の夕方』
金曜日の夕方。
珍しいな、今まで午前中が多かったから。
でも夕方のあの海を見てみたいかも。
きっと綺麗なのだろう。
「分かりました。行きます。それじゃあまた…」
私はこう言って早めに電話を切った。
背中に浴びせられる皐の視線がひどく痛かったから。
電話をポケットにしまい、少し体を前に向ける。
「妃菜子が今してる恋愛は…大変なの?今の電話は彼氏ではなさそうだね?」
勘が鋭いね。
そうよ、私の携帯には椿の番号がないもの。


