奪われたくない。
占領されたくない。
私の心と体は椿のだから。
時は過ぎ、太陽はゆっくりと沈む。
月に世界を託し、体を休める。グラデーションになる空は幻想的でここは一体どこ?と錯覚させるくらいだった。
帰りの準備をしていると小絵が「途中まで帰ろ」と言ってきた。
断るはずがない。
首を縦に振って急いで教科書を鞄に詰めた。
「ちょっとちょっと、何二人で帰ろうとしてんの?俺たちは?」
帰ろうとする私たちの背中に投げられた言葉。
振り返るとそこには眉間に皺を寄せた弘樹と大きな口を開けて欠伸をする皐がいた。
「皐は大歓迎だけど弘樹も一緒に帰るのー?」
「何だよ!その言い方!」
始まったよ、二人の口喧嘩。
私は見慣れた光景を見るかのように黙って見ていた。
「さっさと帰ろうよ。俺帰って寝たいから」


