想うのはあなたひとり―彼岸花―




その文字はどことなく椿の文字に似ていた。



昨日のこと。
覚えてるもなにも…私の中を支配してるわよ。



でも私はあえてそう書かなかった。



“何のこと?”



そう書いて皐に投げ飛ばす。
もちろん先生に気づかれないように。




“キスしたこと”



“あれはわざとでしょ?奈月さんと間違えたんでしょ”




お願い、小絵…
今は振り返らないで。
きっとあなたは悲しむだろうから。



“俺は妃菜子にしたんだけど”



まさかこう返ってくるとは思わなかった。
体が急に熱くなっていく。
日当たりがいいからかな。
今日は天気がいいからかな。




“なんでしたの?”




それで“好奇心”だなんて言われたら殴ってやるんだから。




そして皐から返ってきた小さな紙切れにはこう書かれていた。



“奈月に言われたから。たくさん恋をしろって。気になる子にキスしただけだよ”





揺れた、カーテンが風に靡くように。