想うのはあなたひとり―彼岸花―



いつもそうだった。
私は一言も「助けて」なんて言っていないのに。
一番早く気づくのはいつも皐だった。




「え!皐バイトするの!?」




「するよ、高校生になったし、お小遣い欲しいし?時給高いとこ今探してんの」



そう言って鞄の中から仕事案内誌を取り出す皐。
パラパラとめくり、「ここどう?」と弘樹と小絵に聞いていた。



私はその間に呼吸を落ち着かせる。
そして皐をゆっくり見た。
すると皐が視線に気付いたのかこちらを見て小さく笑った。



不覚にも、どきっとしてしまう。
昨日のせいだ。
今日がこんなにもおかしいのは。
全部皐のせいだ。



そして授業が始まった。
予定通りの日本史。
まだ若い先生が緊張しながら授業をしていた。
私はノートを広げ、黒板の文字を写していく。



するとある一枚の紙切れが私の視界に映った。




「なに…これ」



不思議に思い中を見る。
差出人は、隣に座る皐。




“昨日のこと覚えてる?”