想うのはあなたひとり―彼岸花―



何度疑問に思ったか。
問いただしても神様からの返事は一度もなかった。
そして電車に揺られること数十分。
私の昔の町に着いた。




「…警察署ってどこだろ?」



そう皐は町全体の地図表示を見ながら呟いた。




「こっちだよ。ここからバスに乗るの。そうしたら警察署の前に停まるから」




市バスのバス停を指差しながら私は言う。




「何で知ってるの?」




「ここ…私が育った町だから。ちょうど来たよ」




私たちの前で停まるエメラルドグリーン色のバス。
乗り込むとやはりガラガラだった。
平日の昼間だし、当たり前か。貸し切り状態のバス内。
すると皐は私の手を引っ張り、後ろへと歩いていった。




「俺、バスの後ろの席一番好きなんだ」





…どくん。
その言葉を聞いて何かを思い出す。
そういえば…小さい頃、椿もそんなことを言っていた気がする。
幼稚園バスに一番後ろに座っていた。



理由は…。




「なんで?」




「全体が見えるから」