想うのはあなたひとり―彼岸花―



私の大きな声に、皐は反応を示さなかった。
ただ俯いて写真をじっと見ていた。



「ねぇ聞いてるの?」



そう言って、私は皐に近寄り、肩を揺さぶった。
ゆっくりと皐は顔を上げて私を見つめる。
そしてまたゆっくりと涙を流すのだ。



「いつまで泣いてるの?私とこうしているのも未来なんだよ。言ったじゃない。皐の心が闇だったら私が光を与えてあげるって。私は約束を破らないから」



見失わないように真っ直ぐと見つめる。
すると皐は小さく笑い「ありがとう」と掠れた声で言った。


その言葉を聞いて私は少しだけ心が弾んだのだ。
「ありがとう」と言われるのはいつぶりだろう。
椿と離れてから人と関わることがなかった私は、感謝されること、感謝することを忘れていたようだ。


こんな時に気づくなんて、
私は本当に馬鹿だ。