想うのはあなたひとり―彼岸花―



開けられないロッカーの中は奈月の生きていた時間で止まっている。
でも開けてしまったらその時間は動き出し、今となってしまうのだ。
それが皐は嫌なのだ。


その気持ち…分かる気がする。皐の気持ちを分かろうとしたかった。
少しでも…だから、今の世界を懸命に生きてほしいの。




「確かに…誰にだって過去はあるよ。でも皐が生きているのは今なんだよ?いつまで過去に囚われてるつもり?早く目を醒ましなさいよ」




感極まって立ち上がり、皐に怒鳴ってしまう私。

お願い、目を醒まして。
奈月さん、お願いです。
皐を過去の世界へ引きずり込まないで。




「奈月さんがいなくなってから周りは成長してる。皐だって成長したでしょ?それは生きてるからだよ。未来に進んでるからなんだよ。もう過去なんか戻らない。今を生きるしか意味ないの」





だから私は望んでる。
椿が更生して帰ってくるのを。