想うのはあなたひとり―彼岸花―



たった一言で人間は救われる。そう思いました。



そう椿言うと、後ろでは保科さんがくすっと笑った。
余計恥ずかしさ倍増。

でも嬉しすぎて、嬉しすぎて。
爆走する鼓動。
もう止まらない。



「ありがとう。どうしても椿に見せたかったの…」



小さく笑って椿を見つめる。
視界に映るのは何も変わらない椿。

どうか、この時間を止めてください。
この時間が私には必要なんです。




「髪の毛…切ったんだ?」




突然の椿の質問に戸惑ってしまう。




“俺に関わるな”



皐とのいざこざが頭の中を駆け巡る。




“女の子は髪の毛長い方が好き”




椿の言葉を裏切った私に罪悪感が降り注ぐ。




「あ…うん。ごめんね…また伸ばすから…」




「違うよ。びっくりしただけ。何かあったかなって。すごい似合ってるよ。」





私の心を読むことができるのはやはり椿しかいない。