馬に乗っていけば、自らの城から国境まで半日もあれば着く。



国境には神の森と言われる深い森が続いているから、その中に紛れて帝国領まで行ってみるか…



無謀とも思われる行動を起こしてしまう思い切りの良さが、カイにはあった。






深い森だ…


この森にいると、なぜか帰ってきたという気持ちにさせられる。


この血に流れる神の血がそう感じされるのか…




神の森に入ったカイは、すでに帝国軍の様子を偵察していた。




思ったより兵の数が少ないのが気になる。



まさか国境以外にも配置しているのか?


いや、帝国と接する部分以外は、断崖絶壁の続く岩場だ。


そこを進軍してくることはできまい。



しかし、報告にあったもう半数の兵はどこへ消えたというのか…?




自らの目で見たものの、謎は増えるばかり。


今さら帝国が全面戦争をしかけるというのも腑に落ちない。