しかし、そのカイの笑みも、まるで幻であったかのように一瞬にして消え失せてしまった。



「マリー…。もっとゆっくりお前と話したいが…俺は戻らなければならない」



そう告げられたとたん、今まで感じていた幸せな気持ちがしゅるしゅると萎んでいくのを感じた。



「そっ…か」




まるで耳を垂らした犬のようになってしまったマリーに苦笑しつつ、言葉を続ける。




「マリー。これからお前にはつらい現実が待っているかもしれない。だが…」


そこまで言ったカイは、そっとマリーの額に口付け囁いた。




「俺とお前はまた会うだろう。それまで…決して死ぬな」