「…だ、だれ…?」



音の正体が人間であることに安心したマリーだったが、その格好から町の人間ではないと分かり、では誰だろう?と思った。


普通であれば、見知らぬ男に警戒心をもつところであるが、あまり人と接することなく暮らしてきたマリーには、警戒心というものが欠如していた。



男はそんなマリーがおかしかったのか、ふっと笑みをその唇に上らせた。



なかなかに顔が整っている男が見せた笑みは、マリーに今まで感じたことのない感情を与えた。



あ、あれ…?
なんだろう…胸がどきどきする。



マリーには、それがどういう気持ちなのか、わからなかった。