彼女は痛そうに、目を閉じた。 見ると、血はなるほど背中の布から染み出ている。 「君、どうしてこんな」 訊こうとすると、彼女はふっと笑った。 「あたしはエレナよ。お城から逃げてきて、ここにいるの」 お城? けれど彼女、エレナは確か、彼女を堕天させた原因の悪魔に迎えに来られて、連れて行かれたんじゃなかったっけ。 思ったけれど、さすがに訊けなかった。 だって、見るからに、エレナはその悪魔に騙されたっぽい。 何のために? 天界から落ちてきたエレナを更に苦しめて愉しむために?