【漣】 「何だ何だ!?」 道場に入ってきた結城晴蔵は目を丸くした。 結城晴蔵。 武門、結城家の現当主にして、この道場の主で師範──つまり俺の親父殿なんだが。 「こりゃどういう風の吹き回しだ?」 「父上、どうか私に稽古をつけて下さい!」 床に正座して頭を下げた俺を見て親父殿は、かぱっと口を開けてかたまった。