国境を越えて馬を駆る気配を得て、この林に身を伏せていたのだが、どうやら、思わぬ上物と遭遇したらしい。

吉法師。

このところ、和積の城で囁かれているその名を、玉林自身も、聞き知っていた。

尾張の大うつけと呼ばれる可舞奇者。