雷さんと虎宇以外にこんなことされたことなくて…。



ゾクッと背筋に寒気。



「松居さんっ…離して…」

「うん、ごめん。藤間さん小さくてカワイイから…抱きしめてみたかった…から…ごめんね…」

「そ、それじゃあ…お元気で!!」



走って逃げた。



あたし、雷さんと虎宇以外にあんなことされたくないみたいだ…。



カフェを出て、時計を見ると夜の10時。



雷さんからの連絡がないってことはまだ仕事してる証拠。



松居さんに抱きしめられた部分が無性にムズムズする。



取り出したケータイで、雷さんに電話をかけた。



「どうした?」

「今会社?」

「あぁ。お前バイトか?」

「終わったの…で…どうしても…雷さんに会いたいから…。迷惑にならないように喋らないから!!行っても…いい?」

「なんかあったわけね…。タクシー使うなら来てもいい」

「行く…」



初めてだった。



自分から会社に押し掛けるなんて。



だけど無性に会いたいの…。