無言になってしまったあたしに、タイラさんはこう言った。



「社長は縁者であろうと気に入らなければ排除するお方です…」



やっぱりあたしに雷さんと関わるなと言ってるんだ…。



それだけはバカなあたしでも理解できた。



「キレイなものだけに囲まれて、キレイなものしか見ない人生に…疲れたんです…」

「身分も弁えず不躾なことを申しました。忘れてください」



忘れられない…。



でもタイラさんの言いたいことはわかったよ。



あたしの為を思ってだ。



でもあたし…変わりたい。



自分の人生を変えたい。



だから…ごめんなさい…。



雷さんの家についてタイラさんと一緒に部屋の前まで行った。



時間は午後の2時。



インターホンを押してしばらく、開いたドアから顔を出したのは眠そうな顔の雷さん。



「留宇…」

「来てしまいました」

「帰れ、ガキ」

「イヤです!!玄関に居座りますよ?」



押しが大事だってアスカに教わった。