群青色に染まった空に一番星が輝く。
つい1分ほど前まであんなに明るかった水平線。
あんなに存在感を主張していた水平線が、海へと吸い込まれる。
さっき、ビーチサンダルを拾った男の子が、お父さんに手を引かれ、私達の方へ来た。
「さっきはありがとうございました。このサンダル、旅行のおみやげにって今日買ったばかりだったんです。本当にありがとうございました。」
先生と私も立ち上がり、ペコペコと頭を下げた。
先生はしゃがんで、男の子の頭を撫でた。
見えなくなるまで手を振る男の子を見ながら、小さな声で先生が呟く。
「男の子もいいなぁ・・・」
何気なく言った言葉に
私の胸が少しだけ痛む。